一般公開用「学光」秋号
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学びの力走で時代を先駆する価値創造を コロナ禍で多くの制約がある中、職場で、家庭で、そしてまた地域で、さまざまお忙しくされながらも、たゆむことなく勉学の歩みを進めておられる通教生の皆さんに最大の敬意を表したいと思います。 私は今年度より通信教育部長を拝命いたしました吉川成司と申します。通教生の皆さんお一人お一人がその志を果たすことができますよう鋭意努めてまいります。 昨年、通信教育部は、開設45周年の節目を刻みました。通教の卒業生は21,000名(2022年3月現在)を超え、創立者・池田大作先生が示された、「学は光」との永遠の指針を共有するネットワークは全国に、そして世界に広がっています。これらの礎の上に、更なる高みを目指して共々に前進を開始してまいりたいと考えております。 そのために、このコロナ禍、本学ではICT(情報通信技術)化を推進し、自宅にいながらスクーリングを受講し、科目試験を受験できる学修環境を整えました。この取り組みは、2021年度に「第18回日本e-Learning大賞」で「オンライン授業支援特別部門賞」を受賞する等、高く評価されています。また、昨年11月より、大学からZoomアカウントを各都道府県へ付与し、オンラインで「光友会」の会合や学習会を実施できるように支援しています。 さらに今年度から、創立者の思想を研究する中国の各大学の先生方による「人間教育論B」が新たに開講されています。すでに受講生された方々から喜びの声が寄せられています。また法学部に「ファイナンシャルプランナー」の資格取得に直結する科目が新設されるなど、新たな授業科目が始まっています。 さて、次なる開設50周年への起点となった昨年の夏期スクーリングに際して、創立者・池田大作先生は、「わが創大通教の皆さんこそ、民衆の連帯に立脚しつつ、新時代の先頭を走りゆく、価値創造の走者なりと胸を張っていただきたいのであります」と、万感こもるメッセージを寄せてくださいました。 この点について、『大学は何処へ』(岩波新書)などの著書で知られる吉見俊哉(しゅんや)氏は、これからの大学教育のあり方について、多様性のある学生のコミュニティ(共同体)による創造的な学びが重要であるとして、通信制大学に注目しています(『リクルート カレッジマネジメント』No.231、2022年)。すなわち、大学にとって「学生の多様性」が重要であり、「社会人の学び直し」の機能が期待されている昨今、通信制大学はすでに、学生の多様性、社会人の学び直しを実現しつつあり、示唆的であるというのです。 吉見氏によると、学生の多様性の実現は時代の要請であり、その意味の一つとして、「マルチステージ化する人生への対応」の意義があると指摘されています。「大学に今求められていることは、高校生が社会に出るための中間地点になることではなく、『幅広い年齢層が交友しながら、それぞれに人生のフェーズを転換していくような媒介装置』になること」であるというのです。 そして、「従来の人生モデルは『学習→仕事→老後』を順番に歩むものでしたが、人生100年時代の長寿化社会ではこの図式が崩れます。(中略)一生のうちにより多くの転機が訪れ、(中略)人生の選択肢は広がり、年齢にもあまり縛られなくなるのがマルチステージ化する人生なのです。そうなると、学びの場でも職場においても、異なる年齢層が同一のステージで交友することが多くなる」と述べています。 また、学生の多様性を活かすうえで、より重要になるのが同時双方向型のオンライン授業であることも指摘されています。 このように、近い将来のあるべき大学像として識者によって述べられていることが、私たち創価大学通信教育部ではすでに実現されていることがわかるのではないでしょうか。つまり、皆さんの学びの力走はそのまま時代を先駆する価値創造であり、先ほど紹介した創立者のメッセージの通り、まさに通信教育で学ぶ皆さんの学びは時代の先端を切り開く意味があるのです。 私たち創価大学通信教育部は、2026年の開設50周年に向けて、さらに実り豊かな学びの機会を提供し、本学の「人間教育」の伝統を発展させていく所存でおります。多くの方が創価大学通信教育部で、光り輝く学びの道への挑戦を開始されますよう心より期待しております。LIGHT OF LEARNINGvol.24通信教育部長 吉川 成司

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