学光Vol.8 秋号(一般公開用)
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連載第五回(最終回) 「池田思想研究の新しき潮流」よりしこうした、いわば市21前号「5.池田大作と人間教育」の続きからご覧ください。さて、通教生に対する池田のメッセージや励ましの中で、池田が一貫して強調しているのは、通教生は、単なる机上の学問のみに終始するのではなく、誰よりも、“人間としてのあり方”、“人間としてどう生きるべきか”ということについて、学んでほしいとの熱い思いである。以下に、その一端を紹介しておこう。「伸一は、創立者として、真の人間の生き方を教えたかった。本当の人間の輝きとは何かを、通教生の魂に、深く刻んでおきたかったのである。それが人生哲学として確立されてこそ、学問を生かすこともできるし人間の幸福もあるからだ。人間の道を教えることにこそ人間教育のテーマがある」 (池田2010,p.93)「苦難を乗り越えることが、人間教育の原点」(池田2006,p.224)、「『価値』を意味する英語の value の語源は何か。それは、『強い』を意味するラテン語のvalereに由来しております。すなわち、『価値』と『強さ』とは密接な関係があるのです (中略) 『価値ある人生』『勝利の人生』を創造しゆく源泉は、『強さ』です。『勇気』です。そして『力』です」(池田2005,p.154)、「通教生は、一人も漏れなく、人生の勝者になってほしいと、強く強く念じながら……」(池田 2010,p.13)インデックスは、ページのメインの色にしてください。インデックスは、ページのメインの色にしてください。その下の文字はスミでお願いします。その下の文字はスミでお願いします。池田の掲げる「人間教育」の原点は、単なる言葉の上の議論ではなく、生きることの意味や現実の厳しさを直視した生き方、生活の諸課題から目をそらすことのない生命力に満ち■れた生き方に言及している点であろう。池田の人間教育が標人間像は、きわめて具体的で明快である。池田の人間教育論では、単なる理想の探求という次元にとどまることなく、現実主義、生活主義に裏打ちされた人間味に■れた教育論が展開されている。人間教育という理想だけが語られるのではなく、生活にしっかりと根を張り、適応できる人間、現実の困難と向き合える強さをそなえた人間観を随所に見て取ることができる。論の本質は、いわゆる今日のポジティブ心理学でいう「楽観主義」の生き方に相当しよう。ここでいう楽観主義とは、現実を冷静に指摘しているように、「しなやかさ」「意志 (勇気)」「未来志向 (希望)」 にある (2015,pp.153-161)。「しなやかさ」とは、ものの見方を、柔軟にうまく変えられる特性のことをいう。「しなやかさ」は、めに不可欠であるように、人間が現実の困難に立ち向かっていくための重要な要素である。せい井の人の立場に立って発信された人間教育ひょうぼうまがり直視できる「現実的楽観主義」のことであり、その特徴は、鈎しの木々の枝が強風などの外からの圧力をうまく凌榜する主体的ないで、折れないたがまがり(3)主体的人間の生き方と「楽観主義」創価大学通信教育部40周年記念論文集『池田思想研究の新しき潮流』より池田思想研究の新しき潮流第五回(最終回)創大通教と池田大作の人間教育鈎 治雄(本学名誉教授)

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