連載第五回(最終回) 「池田思想研究の新しき潮流」より23様々な職業や人生経験をもつ通教生が共に学ぶ(創価大学にて 2024年)通信教育部開設40周年を記念する学光祭(創価大学にて 2016年)識し、関わりやつながりを尊重できるコミュニケーション力やリーダーとしての資質を携えた人間の育成の2点を重視していく必要があるとしている (文部科学省公式サイト 2013)。こうしたESD に象徴される人材育成の観点は、これまで述べてきたように、池田が掲げる人間教育が志向する「知」「情」「意」の調和のとれた全体人間の育成、すなわち、常に向上心をたやさない主体性と、非排他的で人間の多様性を尊重する慈悲の精神を携えた人間像と一致している。世界の安定と将来を見据えた持続可能な社会の開発のためには、全体観に立った思考力と地道な行動力を兼ね備えた、自発的で主体的な人間の育成が強く求められている。すでに池田は、「『歴史を創る』とは『人間を創る』ことであり(中略)、『時代を変える』とは、『人間を変える』こと」(池田2005,p.97)であるとして、教育は、「人間を人間として平和と幸福へ導く 唯一の道」(池田2006,p.124)と述べている。また、「人材を創る。これが教育だ。その人材が平和を創る。時代を創る」(池田 2005,p.124)として、わが創価大学には、「『人間教育の最高学府』として、人類の平和と文化に貢献する指導者を練磨しゆく、人材の大城のプライドがある」(池田2005,p.142)と述べている。2016 (平成28) 年4月、創価大学通信教育部は、開設40周年の佳節を迎えた。人間主義の旗を掲げた通信教育部の重要な使命は、目の前の自身の課題と真剣に向き合い、現実生活の厳しさに勝利できる精神力と行動力、そして、グローバルな視点に立った思考力と知識、判断力を兼ね備えた人材を、社会に送り出すことにある。多様な年齢と生活体験、能力や思考を兼ね備え、さまざまな職業経験や人生経験をもつ創大通教生が、持続可能な社会を実現するために果たすべき役割は、きわめて大きい。教職員と学生が心を1つにして、向上心と学び続ける姿勢を持続し、池田が掲げた「人間教育の最高学府」としての自負心と、「人材の大城のプライド」を携えて、持続可能な開発のための教育に尽力し、人類の平和と幸福に貢献しゆく人材の輩出に邁進していきたい。
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