学光Vol.9 冬号(一般公開用)
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Tukyo Story17どんな時も支えてくれる家族と大学生だった19歳の時。対向車と正面衝突する大事故を起こした車の後部座席に乗っていた私は、頸椎を損傷し、気がつけば、体を動かすことができなくなっていました。気管を切開し、首から挿入されたカニューレ(管)を外せる状態となるまで、一進一退を繰り返し、リハビリができるようになったころには、事故から約1年が経過。その後も、転院を重ね、自宅に戻ったのは事故から2年後の2017年の2月でした。入院中に、大学は自主退学していましたが、「将来的には働けるようになりたい」と、さまざまな大学に身体の状況を説明し受け入れを打診。多くの大学から断られる中、創大通教から受け入れ可能とのご連絡をいただき、同年、経済学部に2年次編入学しました。入学当初は、手を動かすことができなかったため、マウススティックを口にくわえ、レポートの作成に挑戦。すぐ疲れてしまうので、一度に少しずつしか作業が進みません。ヘルパーの訪問など、時間に余裕があるわけではないので、しっかりと計画を立て、短時間で集中し、メリハリをつけることを意識。ほとんど単位を落とすことなく、3年間で卒業に漕ぎつけました。スクーリングで授業を受けた際には何かあったときのための休憩場所を通教事務室で確保してくださっていました。幸いにも、使わせていただかずに済んだのですが、そのような準備をしてくださっていることが心の支えとなり、安心して授業を受けられました。通教は、私以外にも障害を持つ方を受け入れ、ダイバーシティを大事にされています。授業の中でも、初対面の通教生同士が、躊躇なくお互いを助け合う場面に何度も遭遇し、学生、教職員など全ての関係者に共通する、この“心”が、創大らしくて素敵だなと思います。2020年3月の卒業後、地元で就職活動を。在学中に合格した日商簿記やITパスポートを活かした仕事は、なかなか見つかりませんでしたが、オンラインでのキャリア支援を行う支援事業所を紹介され、受講生としてビジネスのスキルアップに取り組む中で、縁あって、現在の勤務先である外資系企業に入社できました。経済ニュースを配信する会社ですが、上司や、チームの同僚の半分以上は外国の方。業務上のやりとりやミーティングは英語になります。決して得意ではないので、発言内容やプレゼン内容を事前に準備しなければならず、毎日が真剣勝負です。一方で、人事部の障害者採用スクーリング受講中の様子担当を兼務させていただいたり、障害者の就労に関するプロジェクトを任され、大学等でプレゼンをさせていただくなど、自身の経験をいかして活動するチャンスを与えていただいています。19歳で後天的に障害を負い、落ち込むことは多々ありましたが、家族、医師、周りの方々の支えがあって、少しずつ前を向くことができました。仕事は大変ですし、「ここまで求められるのか。自分には無理だ」と負けそうになることは、今でもあります。ただし、事故後の経験を通して、「体は不自由でも、心は自由であり、自分次第で状況はどうとでも変えていける」ということを学びました。だからこそ、チャレンジすることを大切にしています。一度、ダメだ、と思っても、時間をあけて取り組めばうまくいくことだってあります。支えてくださった方々、創大通教にご恩返しをしたい、この思いが原動力です。決してあきらめず、前進を続けてまいります。Graduate Graduate 大事故で重度の障害を負う助け合う心が、創大らしい体は不自由でも、心は自由Tukyo Tukyo

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