学光Vol.9 冬号(一般公開用)
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2vol.9ストのデザインやデータ分析など、その活用範囲は大きく広がっています。それでは、AIの限界はどこにあるのでしょうか?AIがどんなに発達しても、決して私たちに与えてくれないものは何でしょうか?私はそれこそ「勇気」と「希望」だと思います。人生を開き世界平和を実現する原動力はまさに「勇気」と「希望」ですが、どんなにAIが発達しても、私たちの心に「勇気」と「希望」を燃え上がらせることは決してできないでしょう。では、「勇気」と「希望」の火を起こしてくれるものは何か。いろいろ考えられると思いますが、私は「読書」と「対話」が重要であると思います。特に「読書」の重要性について、創立者は何度も強調されています。「諸君の年代での読書こそ、人格の深化と人間形成への最良の〝糧〟となる」「人間が原点です。読書が、人間らしい人間を作るのです。民衆のための指導者になろうとするならば、読書は、どうしても必要です」 など、創立者の読書に関する言葉は、枚挙にいとまがありません。創立者が青年時代に読んだ本について語った『完本 若き日の読書』が昨年刊行されました。38の書物について、若き日の読書の思い出が綴られています。たとえばヴィクトル・ユゴーの『レ・ミゼラブル』については、簡単なあらすじや、主人公の人物像の分析などとともに、「大洋よりも壮大なながめ、それは空である。空より大きなながめ、それは人間の魂の内部である。」という一節を紹介し、『レ・ミゼラブル』が人間の魂の内部にわけ入った作品であることが強調されています。このように、『完本 若き日の読書』では、単にあらすじを追うだけではなく、人物像を分析し、世界観や思想までも読み取ろうとする読書のしかたについて語られています。良書に取り組むことによって、様々な人生を体験し、深い思索とともに「勇気」と「希望」の火が、私たちの魂にともされることは間違いありません。創価大学中央図書館では全学読書運動「Soka Book Wave」を展開しています。読書という文化を通じて人間を知り、平和を思い語ることは、創価大学の建学の精神に最も合致した取り組みです。ぜひ挑戦してみてください。これからも創価大学は、「人類への希望」を高く掲げ、勇気をもって新たな価値を創造しゆく主体者を陸続と送り出してまいります。本日は大変ありがとうございました。学長 鈴木 将史

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