第49回学光祭 記念講演3北京の305病院で周恩来総理と会見(1974年12月) ⒸSEIKYO SHIMBUN私はかつて通信教育部の副部長を務めておりましたので、「学光祭」が盛大に開催されることを大変嬉しく思い、特に親しみを感じています。今年は、周恩来総理と創立者池田大作先生の会談から50年という節目の年です。1974年12月5日、76歳の周総理は北京の305病院において、46歳の創立者と年齢差を超える深い会談を行いました。この会談は夜9時55分から始まり、二人の間に交わされた発言には、単なる形式を超えた深い意味があったと考えています。創立者が1968年に「中国問題こそが世界平和の鍵である」と日中両国の国交関係正常化を提言(以下、68年提言)しましたが、その内容を周総理が目を通していたことは多くの証言により明らかになっています。この会談は周総理が若き創立者に中日友好の未来を託した会談であったとか、また1972年の中日国交回復実現に対して、68年提言が大きな役割を果たしたことへの高い評価を表明した会談であった等と言われています。私はこの会談にはこれらの評価以外に、周総理の発言と68年提言の間には何か関連があったのではないかと考えました。それは周総理の68年提言に対する共感と賛同ではなかったかと考えています。そしてそれは以下の5点に整理できるのではないかと思います。第1点目に、「あなたが若いからこそ大事に付き合いたいのです」との周総理の発言は、創立者の68年提言への共鳴だと考えられます。創立者は、両国の未来を担う日中の青年がかつての戦争とは無関係であり、手を携え世界平和に貢献すべきであり、国境を越える友情の確立が大切であるという信念を持ち、68年提言の中でそれらを強調しています。周総理の上記の発言には、“私もあなたと同じ気持ちである”との表明と共に、未来の青年たちに希望を託し、中日友好を促進するリーダーとして創立者に期待する想いが込められていたのではないでしょうか。文学部 高橋 強 先生第49回学光祭 記念講演創立者と周総理との会談の意義を振り返る
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