趣味の読書は多くのことを思索する大切な時間中学生の時。自分が選んだ好きな本をもらえる、という機会があり「ただでもらえるなら」と軽い気持ちで手にした佐藤多佳子さんの『一瞬の風になれ』が本との衝撃的な出会いでした。そこから一気に、授業中にこっそり本を読んで先生に取り上げられるまでに(笑)。気づけば、何をしていても読んだ本の内容が頭に残る“活字中毒者”になっていました。創価女子短期大学に進み、就活をしていた時、「自分が本当にやりたいことは、本についてもっと学ぶことだ」と思い、短大の先生に相談したところ、通教を勧められ、文学部に3年次編入することにしました。16東京都在住「本」について学びたい!通教だからこそ深く学べる「自分はどうしてこんなに本が好きなんだろう?」。通教での学びはこの問いに向き合うことでした。その上でとてもありがたかったのは通教が“自分のペースで学べる場所”であるということ。短大では、レポートやテストは及第点で満足、どちらかといえば効率重視の勉強法でしたが、自分の好きをつきつめて学ぶのなら高みを目指したいと、レポートの評価や完成度にこだわるようになりました。手書きでノートをつけることを習慣づけ、例えば、できないことがあれば、なぜできないのかを分析し、解決策をまとめたり。手で書くことから紡ぎだされる思いを乗せれば乗せるほど、レポートを高く評価していただける手応えがあり、「イギリス文学」や「日本の古典芸能」など、自分が興味を持った分野を妥協せずに深く学べることに喜びを感じています。読書と通教の学びの相乗効果で、語彙力に加え、論理的思考力が身についてきたと感じており、家族や友達との何気ない会話の中で「難しい言葉を知ってるね」「言葉遣いが論理的になったね」と言われるようになりました。私は年度初めに履修登録を済ませると、一年間のスケジュールを綿密に立てます。持病があり、体調の問題で勉強が出来ない日があります。そんな時に「仕方ない。待とう」と、きっぱりと思えるのも、見通しをきちんと立てているからこそと思っています。私の書評が本になる!「本に携わりたい」という思いが強くても、持病のため本屋さんでアルバイトすることもままなりません。そんな私に兄が、『週刊読書人』 の人気コーナーである 「書評キャンパス・大学生がススメる本」の存在を教えてくれ、応募しました。その結果、町田そのこさんの『52ヘルツのクジラたち』の書評を掲載していただくことができ、本年、『書評キャンパスat読書人 vol.7(2023年度)』として書籍化もしていただきました。自分の書評が本になるのみならず、著者の町田さんからコメントをいただくという、信じられないような経験をさせていただきました。評価する視点で読むことでの新たな発見があり、深く考えることで本への愛情がさらに強まることを学びました。何より、私の書評を、泣いて読んでくれた人や、読んで心に沁みわたったと話してくれた人もいて、自分の考えが第三者に伝わることの喜びを実感しました。今後もずっと「書く」ことに携わっていきたいと考えています。それは、小説を書きたいということではなく、「自分自身の経験や考えを言葉にして、必要としている人に届けたい」ということです。私自身が、出会った言葉の数々に救われてきたように、例えば、私が病気とつきあってきたからこそわかることを、研ぎ澄まされた言葉で綴っていけば、その言葉を受け取った誰かが救われることだってあるのではないかと思います。私の書いたものが、必要としている人に届き続けていくような書き手でありたい。そのために、通教で、妥協せず深く学んでいきたいです。
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