引用・参考文献※1創価大学通信教育部編(2023)『創価大学 創立の精神を学ぶ―通信教育部編』学校法人創価大学、362頁※2汐見稔幸(2022)『教えから学びへ 教育にとって一番大切なこと』河出新書、86頁、118頁※3柳川範之(2018)『東大教授が教える知的に考える練習』草思社、3頁、51頁、161頁8そして現代においては、生成AI(ChatGPTなど)を活用した「学び」についても、真剣に向き合う時期に差しかかっています。AIの進化は目覚ましく、私たちの学習環境にも大きな変化をもたらしています。しかし、AIがどれほど進化しても、私たちの「考える力」の重要性は決して揺らぎません。経済学者の柳川氏は、「情報処理で重要なのは、大量の情報の中から自分に必要なものを的確に選び、不要な情報を上手に捨てること」※3だと指摘しています。そして、この情報の取捨選択においては、「日頃から頭の使い方を工夫している人とそうでない人とでは、大きな差が生じる」と、日頃から「考える癖」をつけることの重要性を述べています。AIが膨大な情報を提供する時代だからこそ、私たちはその情報に踊らされることなく、自ら問いを立て、批判的に吟味し、取捨選択する能力を磨く必要があります。さらに柳川氏は、情報が溢れる現代社会においては、「確固たる正解を求めるのではなく、情報を頭の中で整理しながら問題意識を少しずつ変容・深化させていくこと」、そして「そのプロセス自体に楽しみがある」とも語っています。池田先生、汐見氏、そして柳川氏といった方々の共通する主張から見えてくるのは、「学び」に伴う喜び、面白さ、楽しさといった前向きな感情の重要性です。AIを単なるツールとして利用するだけでなく、AIが提示する情報を活用しながら、自らの思考を深め、新たな発見をするプロセスそのものを楽しむ。これこそが、これからの時代に求められる、創造的な「学び」のあり方ではないでしょうか。後半の学修は、これまでの学びの集大成とも言える大切な時間です。通信教育ならではの孤独や不安が再び顔を出す瞬間もあるでしょう。ですが、皆様の挑戦は決して一人ぼっちではありません。同じように全国、世界各地で学ぶ仲間がおります。自分自身が選んだこの道を信じて、また一歩を踏み出してみてください。どうか、「学ぶことの喜び」を感じながら、充実した「学び」の時間を過ごされますよう、心よりお祈り申し上げます。通信教育部副部長AI時代における「考える学び」の重要性学びの後半戦へ、自信をもって足立 広美
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