一般公開用「学光」春・夏 号
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odurtindepeninttoitndeearcn n lo g瞰ふIn自立学習入門セレクション13かん 文章の読み方には大きく分けて二通りあります。それは一つ一つの語句や文を正確に理解しながら積み上げるように読み進めるボトム・アップ的な読み方と、全体像を把握した上で筆者の主張を理解しようという俯瞰的な読み方、言い換えればトップ・ダウン的な読み方です。「文章」は文という糸を使って作った織物です。「章」は紋章、校章などの熟語から分かるように、「模様」や「しるし」の意味があります。したがって、文章を読むときは、全体の模様がどうなっているかを把握することが重要になります。これまで機関誌『学光』で連載してきた自立学習入門講座の中から、特に大事なポイントとなる回を自立学習入門セレクションとして紹介いたします。 文章で伝えようとするものは何でしょうか。「知・情・意」という言葉を聞いたことがあるかと思います。ドイツの哲学者カントが人の心の働きを「知性・感情・意思」の3つに分けて捉えたものです。 「知」、すなわち自分が発見したこと、気づいたことなどを伝える、知識伝達型の文章があります。大学で使用する教科書もこのタイプがかなりあります。知識や情報の読み取りは、図表やグラフが対象になることもあります。 「情」は言うまでもなく、人が感じる喜怒哀楽、愛憎、感動、落胆などを詩歌や小説等の形で文芸作品にしたものが挙げられます。 「意」は「意思/思考」としておきます。大学の学びで大切なのは考え方です。筆者が何を言わんとしているのか、主張の基盤となっている論理はどうなっているのかを理解するには、文章から読みとるしかありません。ここに「俯瞰」する読み方の重要性があります。考え方を学ぶことによって物事をどう捉えるかという洞察力や分析力、真偽や価値を判断する力や批判する力、さらに情報を総合し、自分の考えとしてまとめ、新たな形に再構成する力などを鍛えていくことができます。今回のテーマは、「俯瞰」、つまり高いところから見下ろすように、文章の全体像をつかむ読み方について解説します。自立学習入門講座 31全体を俯1.文章の全体像をつかむとは2. 文章から何を読みとるのか山本 忠行教授する読み方自立学習入門セレクション

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