一般公開用「学光」春・夏 号
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CHECK!LIGHT OF LEARNINGvol.114学光ポータルTOPページの「学修支援だより」から2022年4月以降の自立学習入門講座が閲覧できます。過去の内容は、同じく学光ポータルTOPページの「デジタル副教材」から閲覧ができます。 俯瞰して読みとるべきものは何かというと、それは文章の骨子であり、根幹をなす部分です。視点を変えれば、文のつながり方と見ることもできます。文章には核となるところと飾りにすぎないところがあります。目を引くのは、ちょっと難しい用語や比喩などかもしれませんが、それに惑わされていると、本質を見逃してしまいます。 まず、手がかりとなるのは見出しや太文字(ゴシック)、傍線などです。これを手がかりにキーワードとなる語を探し、テーマをつかむように努めましょう。 次にパラグラフごとにトピック・センテンス(話題文)とサポート・センテンス(補足文)を探しましょう。多くの場合、パラグラフの最初と最後に書いてあります。それができたら、それぞれのパラグラフについて自分なりの問を考えましょう。良い問を考えることができれば、焦点が絞られ、論点が浮かび上がり、自分が何を読みとるべきかが明確になります。それをそのまま余白や付箋にメモしておきましょう。付箋を貼る方式は、後から移動させるのも簡単ですし、複数の色の付箋を使えば色分けも簡単です。 本一冊を俯瞰する場合、最大の手がかりは前書きと後書き、それに目次ということになります。これによって著者がどのような考えに基づいて、何を目的に本を執筆したのかがわかります。俯瞰することで、論の展開を予測し、内容をある程度類推できるようになります。これが文章の理解を促し、深めてくれます。 分野によっては関連する新聞や雑誌の記事を調べなければならないこともあります。新聞や雑誌は、ふつうの文章とは書き方が異なります。早く読めるようにするための工夫がしてあります。具体的には見出しとリードです。新聞には見出しの付け方のルールがいくつかあります。見出しが「~に」となっていれば、そうなることが決まったことを表し、「~か」となっていれば、その可能性があることを示します。リードは本文に入る前にその概要を2文、3文程度で示します。読者は見出しとリードで自分が読むべき記事かどうかを判断できます。これによってスキーマを確実なものにできるので、素早く内容を読み取ることができます。 文章を俯瞰するときに重要なのは、その論理的な骨組みを把握することです。言い換えれば、執筆者が原稿を書くときに頭の中に描いたアウトラインを見つけ出す作業が俯瞰とも言えます。そのカギとなるのが指示語と接続語句です。根拠となる事実やデータは何か、それをどう解釈し、結論づけているのか。因果関係はどうなっているのか。大学のテキストは執筆者が用いている論理から考え方を学ぶことが中心になります。 文章を俯瞰することができれば、速やかな理解が可能になるだけでなく、つかみ取った内容を、自分なりに再構成し、新たな視点や発想に基づいて論じることができるようになります。さらには自分の身近な問題にそれを適用して考えることができるようになります。それが本当の学びであり、創造につながります。3. 文章を俯瞰して読むには4. 文章の種類と俯瞰の方法5. 俯瞰するときのポイント

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